撮影案件のフォルダ作成を、問題だと思っていなかった
撮影案件ごとにFinderで繰り返していたフォルダ作成を、初めて改善の対象として捉え、FrameBaseを作った理由。
撮影が終わって編集や現像に入る前に、案件用のフォルダを作る。
Finderを開いて、右クリックして新規フォルダを作って、名前を入れて、その中にまたフォルダを作る。それを毎回、案件の数だけ繰り返していた。
過去の案件のフォルダをコピーして使い回す、ということはしていなかった。案件ごとにカメラの台数が違う。写真の案件もあれば動画の案件もあるし、両方の日もある。音声を別録りするかどうかも違う。編集の工程が入るかどうかも違う。だから固定のテンプレートを複製する運用は、そもそも噛み合わなかった。
案件ごとに違うのだから、そのたびにゼロから組み直すしかない。そう思っていた。
問題だとは思っていなかった
これは別に難しい作業ではない。Finderだけで完結するし、時間もかからない。だから長年、これを「解決すべきこと」だとは考えていなかった。
ただ、編集や現像という、本来頭を使いたい作業に入る前に、フォルダの名前や階層について考える時間が必ず挟まる。デスクに座って、その日いちばん最初にやるのが、いちばん頭を使いたくない作業だった。
それでも、それが普通だった。撮影の仕事にはそういう工程がある、というだけのことだった。
アプリを作れるようになって、見え方が変わった
これが変わったのは、アプリ開発をするようになってからだった。
自分でアプリを作れると分かると、自分が普段こなしている仕事のいくつかを、「これは本当に毎回自分でやる必要があるのか」という目で見るようになる。
その視点で改めて見たときに、初めてFinderでのフォルダ作成が目に入った。長年当たり前にやっていたので、それまでは改善の対象としてすら認識していなかった。
フォルダ作成がつらくてアプリ開発を覚えたわけではない。順番はその逆で、アプリを作れるようになったことで、それまで疑いもしなかった反復作業が見えるようになった。
案件は違う。でも、やっていることは同じ
見え方が変わって気づいたのは、案件ごとに必要なフォルダ構造は違っても、そのたびにやっていること自体は同じだった、ということだった。
- カメラは何台か
- 写真か、動画か、両方か
- 音声を別で録るか
- 編集の工程があるか
案件によってこれらの答えは変わる。だが、「案件の条件を確認して、その条件に合わせたフォルダ構造を組む」という行為そのものは、毎回同じだった。
だったら、フォルダツリーを毎回自分で設計する代わりに、案件についてのその条件だけ答えれば、その組み合わせに応じた構造が出てくればいい。FrameBaseの元になっているのは、この気づきだった。
デスクの前でやる必要も、なかった
もうひとつ気づいたことがあった。
案件の条件——カメラの台数や、写真か動画か、音声を録るかどうか——は、撮影が終わった時点でもうすべて分かっている。それなのに、フォルダを作るのはいつもMacの前に座ってからだった。
これも別に必要だったわけではない。ロケバスの中でも、電車の中でも、撮影後の移動時間に、iPhoneでその条件を先に入力しておけばいい。
そうすると流れはこうなる。撮影が終わる。移動中にiPhoneで案件の中身を入力する。デスクに着く。Macでフォルダ構造を生成する。そのまま素材のコピーに入る。
これで削れるのは、フォルダを作る数分の操作だけではない。デスクに着いてから本来の作業に入るまでの間に挟まっていた準備工程そのものを、移動時間の側に移せる。
iPhoneで組んでMacで作る、という今の役割分担は、最初から技術的な狙いがあって決めたものではなかった。撮影後の時間の流れを辿っていったら、自然とそうなった。
作ってみて分かったこと
FrameBaseで得られたのは、数分の時短だけではなかった。
アプリを作れるようになったことで、それまで「仕事とはこういうものだ」と疑わずに繰り返していた工程を、あらためて必要かどうか見るようになった。
