Product Thinking · 2026-08-04

写真選定に一覧ではなく比較画面が必要な理由

撮影の現場で最後の一枚を選ぶとき、自分が実際に比較していたのは写真そのものではなく、写真同士の関係だったという気付きについて。

写真を、一枚ずつ選ぶのをやめた。

開発前の前提

私は20年以上、写真撮影を仕事にしてきました。撮影枚数は数百枚、多い時は数千枚になります。

一般的には、RAW現像、カタログ管理、AIカリングの話になりがちですが、自分の仕事では最後まで解決されなかった工程がありました。それは「最後の一枚を選ぶこと」です。

最初に感じた違和感

現像ソフトでは写真を一枚ずつ見ます。ズームし、シャープネスを確認し、ノイズを見て、評価を付ける。もちろん必要な作業です。

しかし、ある時から違和感を持つようになりました。自分は本当にその方法で写真を選んでいるのだろうか、と。

編集作業で実際にやっていたこと

編集作業では、最後の判断になると行動が変わっていた。候補写真を横に並べ、少し動かし、見比べ、残したい写真だけを脇へ置く。また比較する。また減らす。

つまり、一枚ずつ見ていたのではなく、複数枚を同時に見ていました。

気付いたこと

そこで初めて、自分が比較していたのは写真ではなく、写真同士の関係だったことに気付きました。

どちらが良いかではなく、どちらを残すか。この判断はズームでは行っていませんでした。

「Keep」は評価ではなく場所だった

写真管理ソフトには、星評価、色ラベル、フラグがあります。しかし、自分は現場でそんなことはしていませんでした。

実際には、「これは残す候補だから横へ置いておこう」という行為しかしていません。つまりKeepとは評価ではなく、一時的に置いておく場所だったのです。

SelectDeskのKeep Trayは、この仕事の動きをそのままUIにしたものです。

デジタルで失われたもの

フィルム時代やプリントでは、机の上へ写真を広げることができました。

画面は一枚の写真を大きく見るように設計されていました。現像やレタッチには合理的でしたが、そのまま最後の選択まで同じ画面で行うようになりました。

私は失われたのは比較能力ではなく、「写真を広げる机」だったのではないかと思うようになりました。

なぜSelectDeskを作ったのか

気付けば、自分が欲しかったのは、新しい写真管理ソフトではなかった。

必要だったのは、最後の数枚を安心して見比べられる場所だった。

写真を管理するためではなく、
写真を選ぶための机。

SelectDeskは、その考え方から生まれた。